まず“風”から始まった

2008年10月からスタートしたAKARA PROJECT。
何もない状態からのスタートして、

2010年新年が明けた現在の状態で、
建物の外壁が立派に立ち現れています。
現在では計画の情報もオープンに出来る様になり、
晴れて、このブログを立ち上げる事にまりました。
計画当初の事を振り返りながら、
AKARAについて知っていただければと思います。

僕と恵利子はこのプロジェクトの
プランニング、ディレクション、
そしてデザインを担当しています。
建物の建築や事業内容のプランを進めるにあたり
父であるボクネンと焼き肉を食べながら
ビジョンを語らう事からスタートしました。

プロジェクト・コアにとっては初の
“建物から作る店”になります。
現在ある店舗の
『HabuBox』と
『BOKUNEN’S ART OKINAWA』とが
一体になった複合店舗で、
飲食事業の再チャレンジも含む事は
決まっているものの、
コンセプトや規模、設計業社等々
09年9月の時点ではほぼ白紙。
明確には決まっていない状態で、
第一、未経験の僕等にプランニングが
務まるものなのか、
本当に手探りの中からのスタートでした。

僕が
「どんな感じにしたいの?」と尋ねると、
ボクネンはこんな感じに切り出してきました。
「風が走る通りを作りたいんだよね」
その瞬間ピンと来たのをはっきり覚えています。
と言うのも、観光にまつわる
製品企画やっている兼ね合いから、
地産池消やメイドインジャパン(沖縄)への
傾倒的風潮に考えるところがあっての事です。
本来、生き物や文化とは
地球上をダイナミックに対流して動いている物で、
一所で留まり発酵した価値ばかりに
囚われては健全でないのでは?と思い、
風の様にどこで始まったのか判らない
そして、淀まないたくましい概念が必要だと
一人悶々としていたところだったのでした。
そこへ“風を通す建物”という大仕掛けは単に
風が通るだけの意味を越えた、
精神的に意義のある大事な事に思えたのです。
だから、シンクロする様にすんなりと
賛成出来た訳です。

会話の中から何らかのヒントを
引き出そうと考えていた僕は、すぐさま
「なるほど。それがコンセプトになるね!」
と答えました。

風を通すと言う事はつまり、建物に
風をより増幅させる構造の通りを設ける
と言う事です。
その様な発想とは
いかにもボクネンらしいもので、
海岸端の隆起珊瑚の谷間を吹く風の
話もしてくれました。
細く割れた谷間の開口部が
ちょうど漏斗状になっていて、
そこを吹く風が勢いを増すというのです。
そんな体感がストックされているのだから
面白い。
そして、その現象を
表現しようというのだから
なお面白い。
物理的な効果としての魅力ももちろん、
精神的な面での流動性にも
フィードバックされる気がして
そこに魅力を感じました。

後に調べて判った事ですが、
沖縄は一年を通して様々な風が吹く
まさに風の島だったのです。
特に、6月上旬から下旬の
夏至の頃に吹き始める南西の季節風の
“夏至南風:カーチーペー”と
10 月頃に吹く北東の季節風の
“新北風:ミーニシ”が特徴的で、
琉球の大航海時代の“エンジン”になって
文化を運んだのです。
だからAKARAの“風の走る通り”とは
先人達のパワフルな“アジアのエンジン”の
象徴でもあるのです。

この形のないモニュメントを起点に
建物のプランが立てられました。
多くの難問にもぶつかりながら…
ですがそれゆえ、とても有機的で
非常に個性的でもあります。

AKARAの正体は“建物でない部分”の
“空間”や“そこを抜けて行く風”なのかも知れない。

まず“風”から始まった…
それがAKARA。


<川の流れの様に止めどなく夏至南風:カーチーペーが海から吹き付ける(09/06美浜サンセットビーチにて撮影)>




<HabuBoxのロゴの“流れヤシ”もこの風が、1つのモチーフになっています。ちょうどこんな感じだね(09/06美浜サンセットビーチにて撮影)