裏表のない建物

この間、ディスカバリーチャンネルで
台湾のエコ建築に関する特集がやっていました。
通気性やガラス窓を極力少なくするなど、
省エネを図る工夫や、雨水利用、
ネイティブに学ぶ環境適応性、
亜熱帯気候の直射日光を避けての
北面からの採光など…
どれもAKARAで当然の事として
取り組んでいる内容でしたが、
勉強になると同時に
とても共感をもてる内容でした。
ただ、我々は、
“エコだから”やっている訳ではなく、
自らが快適に過ごすため、
顧客が憩うために、
“ごく当たり前の工夫”として、
取り組んでいた事ですが、
彼等の様に我々も
新たな技術に挑戦しているんだと
気付かされました。

2008年11月〜12月。

ファーストエスキースから

建物の形をブラッシュアップしていくにあたって
特に調査したのは風の流れでした。
南西の方向と北東から吹く季節風、
そして南から吹く夏の風、
それらを効果的に取り入れる
構造にする必要がありました。
つまりAKARAは最小の町なのです。

過去60年分の風向データを見ていると
先人達がこの風に乗って、
アジアを席巻したのがよく分かります。
その季節風に対するアンプ(増幅器)としての
通りがワルミィ通り(※)
初夏のカチーペー(夏至南風)と
初冬のミーニシ(新北風)とを取り入れます。
もうひとつのソイソイ通り(※)
夏の頃南から吹くフェーカジ(南風)を取り入れ
涼をうみます。

こうやって風の流れや、人の流れを
1つ1つ考えて行った結果、
面白い事に
AKARAには正式な裏側がない状態になりました。
(建物にはファサードという正面の顔と、
バックヤード的な裏面があるのが通例です)
搬入口やメインエントランスは
ある事はあるのですが、
どちらも、半分“顔”だし半分“尻”、
どっちがどっち?みたいな状態で、
ちょうどウニやヒトデの様です。

商業施設としての正論から逸脱した様な
大胆な試みもありますが、
世界にここしかない場の環境に適合するために、
考え抜いて現在の形になりました。
実際にお客さんが入ってみないと、
その形態の快適性や
合理性は分かりませんが、
今のところ
間違いはなかったと手応えを感じています。

裏表のない欲張りで変な建物AKARA、
お楽しみに。


<2008年12月。平面プランのスケッチ。ほぼ現在の形に近くなっています。>

※ワルミィ:沖縄の海岸によく見る隆起珊瑚の谷間、割れ目。ワルミィ通りは南西から北東に通る風の回廊の名称。
※ソイソイ:そよそよの沖縄口。ソイソイ通りは、南口から北口に通る風の回廊。cafeSOISOIのテラスでもある。